伝統空手 「前蹴り」の技・テクニックのコツ・ポイント 1

「伝統空手 「前蹴り」の技・テクニックのコツ・ポイント 1」のまとめです。

突きがゆくゆく一拍子になりやすいのと比べて、蹴りはなかなかそうもいかず二拍子です。膝を取るからです。膝を取る、というのは、突きでは先に肘を曲げているので、伸ばす方向にだけ動かせば一拍子に近付きますが、特に後ろ足は構えた状態ではそんなに屈曲しているわけでもないのである程度伸びているところから伸ばすだけだとただの足上げになってしまいます。一度曲げてから伸ばす、となるものです。そのままでは反応されて当たり前、と言えるでしょう。KOのある試合と違って、こちらが膝取った瞬間に突っ込んできたり、反応されてガードの上からになれば無効でしかない、もし上手くクリーンヒットしたとしても反則取られる確率のほうが高い、という辺り、最も苦労するわりに報われない技だと思います。それでも自分の行った大学では前蹴り使ってナンボ、という掟があったので、あれこれ工夫はしました。上記のような点を踏まえて、それではどうするか?という事です。
でも、そうそう上手くいくものでもないです。上手くいった時は無自覚、反射的に「あ、出ちゃった・・・」という感じです。意識は遅れてきます。蹴ろうとして蹴ったのではない、という事です。

膝を取らない、という感じはありますが、これはしっかり膝を取るようにやった先の事で、その動作の必要な部分だけを抜き出したもの、省略したもの、間に合わせる為に自分用にカスタマイズしたもの、です。

これとは別に、二拍子の蹴りで言えば、決まる要因と言えば、出す以前の「準備」があるかどうか、でしょう。何度か上段回し蹴りや足払いをみせておいて相手の意識を上や下に振り回す、特に上段回し蹴りを前蹴りと同じ膝の取り方から蹴っておけば、膝をとったら相手が上段の防御や回避動作をする、となる瞬間があります。ここで前蹴り、ですね。
膝取ったところで止まって不発弾のようにみせて相手を誘い込んで、という三拍子なら、前蹴りではなく上段回し蹴り・内廻し蹴り、というほうが競技的には有効でしょうね。
これはどちらも「膝を取れば気付かれる、対応されるのが当たり前」というのを逆に活かす、という事です。膝を取る二拍子の前蹴りでそれを相手にただ速く、とやって決めようと考えるのはとても傲慢な、自分勝手な在り方、と言えます。

もちろん、前蹴りを決める為にあれこれ準備する、という迂遠な事でもなく、流れの中で自分がそれまでに見せた技をフェイントにして、という流動的な方法もあります。あくまでひとつひとつの技は、それを出す時にはしっかり決めようとして出していく上で、それまでに出した技と同じモーションから違う技を、同じリズムから変拍子、というセオリー的な。その何かからの変化、として前蹴りを体が選択すれば結果的に決まり技が「前蹴り」になる、というほどの事、というのでもいいかと思います。