合気道 「四方投げ」の技・テクニックのコツ・ポイント 3

「合気道 「四方投げ」の技・テクニックのコツ・ポイント 3」のまとめです。

腕で踏ん張る人には腕でかけようとしても力勝負になるのは自明です。先生がおっしゃる「力を込めず優しく腕を添えて・・・」は、腕に頼らずしっかりと足を動かしてかけろということではないかと思います。
腕を切り上げる動作の際は、道場によっていろんな方法をとっています。私が最初に習ったのは、受けの手首をひねって受けの肘の下に自分の腕を入れるようにして切り上げる動作でした。これは、実際は受けが腕を縮めるような動作をするとかけられません。
現在私が指導されている動きは、受けの腕を自身の中心にしっかり落としてから、受けの中心に向かって足を進め、呼吸投げをするように腕を上げていく方法です。これも、呼吸投げと同じく、受けがわざとこちらが踏み込む線から逃げようとするとかかりません。ただし、師範にかけられると最初に腕を取った瞬間に腕の重みで動けなくなり、そのまま中心に足を進められてあっという間に畳に転がされてしまうのですが。

腕を切り下ろす動作については、多くのケースで受けに対して自身の中心が向いていない状態で切り下ろそうとし、受けの腰が崩れていないのでそのまま踏ん張られるケースかと思います。この場合も、自分の腕に力が入っていると、自分の力が邪魔になって自身の中心を受けに向けれる所まで腰が回らなくなります。

以上は、現時点で私が四方投げに関して持っている観点ですが、これもまた違う道場に行けば違う考えになるのだろうと思います。実際、昨年にある道場に出稽古に行ったところ、そこの先生に肘を極められた状態で四方投げをかけられて肘を痛めました。これも、そこの道場でやっているやり方で、対処法を事前にわかっていれば怪我しなかったんですけど。

ちなみに四方投げが使えるかどうかは、相手が予測していなければ十分使えるのかなと思います。30年近く前に合気道を始めた頃、富木流の試合を見学させてもらいました。ある大学(富木流では実力が高い有名大学)の選手が、隅落しからの変化で四方投げをかけて見事に決めていました。富木流の試合を見ていると、ほとんどが正面当てというカウンター技に頼っている人たちがほとんどの中で、その選手の四方投げは鮮烈でした。どうも、その技では有名な選手だったことを後で知りましたが。結構小柄な選手だったので、その体格を活かしたのかも知れませんが。(四方投げはやはり受けより身長が高いとかけにくいので。)
あの技を見た限りでは、四方投げが使えないとは私は思えません。ただ、自分たちの修行が足りずに使えないだけかなと思います。

四方投げが難しいのは、体を回転させる動きが大きいからです。

いかにコンパクトに素早くするかがポイントですが、そのためには脱力がどうしても必要です。

腕力に秀でる人にかからないというのは、相手が脇を締めて腕を棒にするからでしょう?

この防御への対処法は以下のような方法があります。
①相手のひじを極めて、体を浮かせる。
②こちらの親指で手首の4教を極めて体を浮かせる。
③顔面に当て身を入れて、虚をつくる。
④手首をあきらめて、相手の袖を持ち、柔道の韓国背負いに持ち込む。

また、最初から体の転換を使わず、前さばきだけで掛ける四方投げもあります。
僕は、これが好きですね。

技の精度を高める稽古方法と現時点の技術で技に入る方法を分けて考えた方がいいと思います。

現時点で腕力に対抗するなら
①技に入らせまいと力を込めている相手の気を一瞬逸らすために当身を入れます。
いくつかの方法がありますが、技に入る時なら、顔面にアッパーカットのような突きを入れ、相手が突きに気を取られた瞬間に技に入ります。
あるいは、手の甲で相手の目をふさぐ様な遠当てをして技に入ります。

②相手の腕は肘を伸ばしきるように、人差し指から小指までも伸ばしきる形を作れば崩しは容易です。ここが、不十分で崩し切れず、返される場合もありますが、その場合は相手の手を掴んでいる自分の手を空間に固定するようにしながら半歩後退してから投げるとうまく投げることが出来ます。

③相手が手と捕って来て十分に力を込めてから、さぁ技に入りましょう・・・では、初心者には難しい状況です。相手が手に触れるか触れないかくらいで動きはじめましょう。腕力のある者が腕力を使う前に技に巻き込んでしまうのです。

技の精度を高めるのなら「相手が手と捕って来て十分に力を込めてから、さぁ技に入りましょう」で稽古をします。
①自分の左手を捕った相手の手を空間に固定して、(相手の手の甲側に、自分の右手を添えて)掴まれた腕の前腕を、肘を下げる事で地面と平行にします。
②次に添えた右手をこじり上げ、そこを支点にして固定します。同時に、左手の手のひらを地面に向けるように回転させ相手の肘を伸ばします。(ここでは相手の指の力と自分の腕の力の勝負ですから負けるはずがありません)
③掴んできた相手の指が左手から離れないよう気を付けながら、相手の手首を上に持ち上げます。相手の肘を伸ばしきって出来るだけ大きな円を描くように相手の手首を回転させて崩します。

初心者が気を付けるべき点をざっと書きました。