三船久蔵(柔道)の技・テクニックの解説

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●隅落(空気投げ)

・・・・「押さばまわれ」-相手が押してくるとまわる、相手は飛ぶ、それを後から押せばいい。然らば引いた時はどうする。斜めに押していく。斜めというのは円の最初の動きである。これを利用して、相手を斜めにやって中心を失ったところを一寸押す。
これが私の発見した最大の原理だ。
「空気投げ」(隅落し)というのは、私が空想をえがいたことが、理想的にしかも物理学的にあてはまる形をなしたものである。だから私は、少しも相手を倒そうと考えないで、相手が転んでいくと考えている。
最初に空想をえがいたときには、柔道ではどうしても手足をとって投げるのであるが、本当に柔道の奥儀を極めれば、相手に全くさわらずとも、ぽんと相手は転ぶというようなことはないかと考えた。しかしそれは、絶対に出来ないことだった。出来なかったから、それに最も近い形で出来ればいいと考えた。相手に段々接近し、一寸さわったらぽんといくようなことはなかろうかと、考えたのである。
以下略・・・

柔道一路/三船久蔵

 
柔道一路 (1955年) (サンケイ新書)