「合気道 「片手取り」の技・テクニックのコツ・ポイント 2」のまとめです。
腕を取らせるということは、相手が取りやすい位置に腕をみせ、なおかつ自分は相手に対して力を発揮しやすいポジションにして取らせるということです。
別の視点でいうと、隙を見せて相手が攻撃しやすい場所を作ることで、相手の行動を制限するという意義もあります。
腕を取ること自体が有り得ない設定だと考えていると、この意味を取り違えてしまいます。あくまでも、腕を取らせる時は、腕を取らざるを得ない設定をするということです。もしくは掴みに来た際に、自分が良い姿勢で腕を取るように仕向けると言うことです。
本来は、武器を持っている相手を抑えるために掴む訳です。これは、武器を持った手を抑えることで、攻撃を防ぐという理に適った行動である訳です。
また、グラップリングを仕掛ける際に、まず一番近い末端を掴んで相手をコントロールしつつ、より近位部に持ち替えて行って技に入るという方法もあります。この時の相手の掴みを自分が反撃しやすいような姿勢で持たせるということです。
柔道式に襟を取りに行きたくても、防御の腕を前に出されていると、まずそれを処理していく必要がある訳です。この時にまず腕を掴んで崩しに行くという展開から間合いを詰めていくというやり方もある訳です。
腕を掴ませる際には、このような展開が合理的な攻撃手段になるような構えを取ることが重要になってきます。片手取りで抑えることが有り得ないと思っているのでしたら、まだまだ稽古が足りません。
片手取りをする時は、相手が動けないように抑えるのが、本来の掴み方です。そこから、好きなように技に展開していく訳です。
2人掛けなどでありますが、手首を取ってそのまま四教で抑える技がありますよね。こういう展開も一つにある訳です。
片手取りの技で、相手の手を外して逆に掴み返して技をかけていくこともありますよね。初めから掴みに行っても同じことです。実戦で可能かどうかと言われたら、端からアウトボクシングスタイルで掛かってくる相手に、片手を取りに来させるのは、なかなか難しいものがありますよね。こういう相手の時は、片手取りに限定せずに、相手の攻撃を誘導していくと考えて展開した方が合理的です。
こういうやりとりは、打撃系の選手もよくやっていることです。
ある先生曰く、つかまれた腕を通して相手の腹とつなげてしまう・・合気道はこれが大前提。コレのない技は技ではない。
人間は動物的本能で思わず目の前で揺れているものがあればそれを掴んでしまう修正があります。
そのため掴ませる時に自分の手を体より前に出し、掴ませる手を強調するようにしてください。そうすると何も知らない人ならば思わずそれを掴んでしまうというのが理屈です。実戦で使えるかということですが、実戦というものはワンパターンではありません。どのような状況でも対応出来るように様々な技を磨くのが武道というものです。
例えば、全く見知らぬ酔っぱらいに腕や胸ぐらを掴まれた時に相手を怪我させないように取り押さえるのも実戦といえば実戦でしょう?
こういうときならば充分使えると私は思います。
基本的に刀を抜刀する動作を押さえる動作が、片手取りや交差取りの形らしいです。柔術の時代の形式なので、現代的な格闘には合わないと思います。あえて言えば、掌底や裏拳などで打ち込む動きを制された時の変化が可能かもしれないですが。(私が一番最初に教わった先生には、受けが反応しなかったら掌底や裏拳を入れろと教わりました。)
それでは普段の稽古ではどうするかですが、腕に意識を集中させるのではなく、自身の中心を受けの中心にしっかりと向けて、身体全体で攻めていく意識を持つことかなと思います。抜刀するにしても、裏拳あるいは掌底を打ち込むにしても、腕だけでなく身体全体で動かしていくことになると思います。その場合は、中心に意識を持つことが重要になると思います。その意識を持たずにボサーっと突っ立って腕を出すのとは、やはり受けが受ける感覚は異なると思います。