伝統空手 「刻み突き」の技・テクニックのコツ・ポイント 9

「伝統空手 「刻み突き」の技・テクニックのコツ・ポイント 9」のまとめです。

一つはまず、余分な動きを消すことです、例えば突きを打つ場合打つ前にどこかが動いてないか、打っている最中でも、各部に余分な動きがないかチェックすることです、とくに重心移動を先に始めてしまう方が多いので要注意、動く時が打った時です。

次に、威力が出せそうだということで身体各部で順次加速させ威力を出すという通常の動きをやめることです、順次ということはリレーのようなもので動きはじめてから時間がかかってしまいます、正解は各部を同時に動かしてその中で一番時間のかかる部位にその他の部位をあわせる動きです、打撃の一番インパクトを出す瞬間に各部の運動エネルギーのマックス(最終加速)をあわせます。(流派ごとに秘伝や奥義があるから師範にきいてみなさい、なければ…それまでかな)

次に、打つ前の気配を消します、これは人間の生理機能で動く前にその筋肉に緊張がはしります、これは効率よく筋力をだすために筋肉をスタンバイ状態にする予備緊張というものです、武道ではこれは消していかなければなりません。

次に、打つこと自体を反射化することです、同じ動作を同じ条件で何度も繰り返すと脳の運動中枢にバイパス回路がつくられます、これが条件反射です。人間はなにかを判断して動こうとすれば0.5~1.0秒ほどの脳の処理時間がかかってしまいます、単純な判断なしの行動でも0.1秒をきるのは難しい、反射化した動作は0.02秒~なんでその他の脳の処理に比べれば格段に速い。したがって、相手を使い、なにかの動作に合わせたり、導きだされたりという動きやイメージトレーニングを反射化するまで行います。

次に、読みを鋭くすることです、ここまでやってきたらわかると思いますが、同じ事は相手にもあてはまります、予備動作の段階、予備緊張の段階、脳から指令がくる段階と、後者になれば攻撃自体が始まる0.5~1.0秒前に来ることが解ってしまいます。この段階で読めればほとんどの攻撃はただのおいしいチャンスになります。
怖いのは同様に最短最速を走る予備動作の全くない反射攻撃だけです。

はやいパンチは、パンチの速度だと勘違いしている方が多くいます、しかし実際は打とうと思ってからマトにパンチがめり込むまでの時間のなかで手自体が動きはじめるのは最後の最後です、素人では、動こうと表層意識が命令を出して一度その動きと、全く逆の動きを潜在意識が計算をして運動モデルをつくり、身体各部に予備緊張が現れて、重心移動、余分なタメ、余分な動作、足が送られて、腰や肩が順次ひねられて、やっと手が動きだします、手自体は0.2~0.05秒ほどで動きは終了してしまいます、パンチである手の動きは全体からみればほんの一部の動きなんです、見切ることが出来る人間にとってハンドスピードがいくら上がろうが捌くことにたいした問題は生じません。
ちなみにパンチを動体視力で見切るというのは武術的には無意味です。目付けに必要なのは周辺視能力です、視点中心から離れた部分の視力がいいほどいい、つまり一度に全部をみる能力が大事です。

カウンター取られるのは、技が単調、相手に読まれている、単純に動作が遅いかです。
自分が「待ち拳」スタイルでやってみれば、自分の問題点も見えてくる。読みは、単調な技をあえて出して、相手にカウンターを出させて、そのカウンターを捌いて決めるような組み立てです。
人間の体の構造から、この技には、このカウンターしかないという組み合わせがいくつもあります。
ただし、相手がむしろ素人だったり、超人的身体能力ある場合は別ですので注意。