ムエタイ 「ミドルキック」の技・テクニックのコツ・ポイント 4

「ムエタイ 「ミドルキック」の技・テクニックのコツ・ポイント 4」のまとめです。

現実は「腕ならどこでも。肘には注意(肘を蹴らないよう)!。」です。

ターゲットとしての箇所は上腕部。肩の下、腕の外側です。筋肉の薄いところです。
打たれればより痛い場所ですから、どの辺か判りますよね。
弱点をやすやすと攻められないように、構え・防御が出来ています。そもそも人間は自然に庇う動きをします。
現実には狙ってクリーンヒットはしません。数打って、コンビやフェイントの中でたまにヒットするくらいです。
ミドルにしては位置的にもちょっと高いですしね。

「何処を蹴る?。」のリクエストから少し外れますが、
「相手の体の正面から蹴る」もあります(正面に立って蹴るではありません。振った蹴り足が相手を正面から襲うように、です。)。こちらが現実的で私も意識してそのように攻めています。
ムエタイ・キックのディフェンスの形を見て頂ければわかりますが、「腕を体に密着させて、身体本体と一つの物体になったように受けろ」と指導されます(脚はまたべつとしての話です。)。腕だけでは脚に負ける。隙間があっては腕をかいくぐって本体が被弾してしまう。等から試行錯誤の末に出来た防御です。
古来の空手等とは大きく違うところです。空手では内・外受け、払い系の防御があります。
現在は脚に対してはいなす様に(最近では「捌く」と表現することが多いですね)腕を使います。
が、本来は打ち付けるタイプの防御法でした。
これらは現実的ではありません。腕を折られてしまいますし、加えて本体の防御が手薄になります。
しかしこの上記ムエタイ式防御を逆手に取っています。
自分の蹴り足と相手の体で、相手の腕をサンドイッチにするように蹴ります。
これも自分一人で確認出来ます。壁に向かってボクシングっぽく構えて、壁に密着していきます。体重をかけていけば痛い箇所がある筈です。
腕(肘)が本来曲がる方向ですが、目いっぱい曲げてそこからさらに外圧がかかると肘のあたりがピシッっときます。関節技にもあるくらいです。
また本来は腕の外側(手の甲側)で受けるのですが、腕の小指側の面は比べて弱く、打撃そのもので腕を傷める効果も比べて高いです。この攻撃は当然蹴りをこの部分で受けさせることになります。
これを狙います。万能な技は攻防共にありません。馬鹿のひとつ覚えではなくバリエーションです。
嫌がって相手が身体から腕を離せば、隙間から身体本体を狙います。もしくは蹴りの打撃そのもので腕を狙います。

意識も重要です(と云うより変わります)。
どうしても身体本体(首から上を含め)を狙うことが多いですから、その時は攻防共に考えなければなりませんし、狙うためには速さや正確さが必要です。なかなか思い切りは振れません。
しかし最初から防御の腕狙いならば、気も楽で開き直れます。的がデカイし、何より向こうが当たる場所に置いといてくれるのですから(防御の為に当然です)。チマチマした蹴りではなくフルスイングです。
相手にも伝わります。「このままではマズイ」と他の選択をしたところで隙も出来るし、こちらも防御の準備等は駆け引きの面白さです。

パンチの威力は下がります(と云うか、下がるように蹴らなければ)。

拙い長文で伝わっているか心配ですが、格闘技は「ああすれば、こうする」の段取り・手順ではありません。
セオリーはありますが、「こうすれば大丈夫」ではありませんので解って下さい。

一般的なことを言えばムエタイは空振りすると回転させます。
これは、ムエタイ独特のフォームによります。
ムエタイはスタンドルールがありませんので、鞭のようにしなる蹴りを繰り出すために遠心力を生かしたダイナミックなフォームで蹴ります。
ですので、無理に蹴りを止めるようなことはしません。
ムエタイのミドルキックは、ボディを狙うのではなく腕を殺すのが目的になります。
ここがキックと大きな違いがあり、キックはボディを狙うために防がれないように直線的な蹴りをします。

(蹴りをかわされると、蹴り足が一歩前に出て、相手に歩み寄る形になります)と質問者の方がおっしゃっているのも空手だけのものではありません。
小林聡が使用し、藤原敏男の指導のもとで使用される「戻せなさを利用した連蹴り」というものが、これを利用したものです。
蹴りを繰り出して歩み寄った後、続けて反対側の足で蹴りを入れ続けるというものです。