伝統空手 「横蹴り」の技・テクニックのコツ・ポイント 1

「伝統空手 「横蹴り」の技・テクニックのコツ・ポイント 1」のまとめです。

足刀蹴り(蹴込み)は前蹴りや廻し蹴りと違って、押し蹴り型になります。
手技にたとえると、足刀蹴りは正拳突き、前蹴り廻し蹴りは手刀打ちや裏拳打ちに相当します。
ですから、メリットデメリットもこれに類するものになります。

メリット…威力がある。
デメリット…遅い。

遅いというデメリットはポイント制の場合は特に致命的で、伝統派の試合では足刀蹴りを使う選手はほとんどいません。審判も取らないことが多いし、蹴った後、構えに戻るまでに隙が出てしまうからです。足刀蹴りを試合で使うためにスナップを使うといわゆる「蹴上げ」になるのですが、廻し蹴りを使った方が効果的です。

足刀蹴りは試合よりも、膝をねらったり、接近戦を回避するために有効で、どちらかというと護身的な蹴りとして修練しています。

もともと空手には中段や上段の横蹴りは存在しません。下段の関節蹴りのみです。
松濤館流の先生方が元々の型の前蹴り(金的)を改変されて蹴上が加わり、基本の中に蹴込みが加わったということです。

歴史が浅く、その技術的伝承も十分でないためそれぞれの先生方の独自の指導であまり統一されてないグレーゾーンがこれです。

単に上段と中段の違いだけという解釈もあれば、蹴上はスナップを効かせてすぐ引き戻すジャブのような蹴り、蹴込みは相手に深く蹴りこむ蹴り、と分けて考えているところもあります。

しかし質量が大きい胴体に対してスナッピーに蹴る蹴上が通用するはずもなく、上段は深く蹴りこまなくても下からスナッピーに蹴り上げるだけで質量の小さい相手の顔面は跳ね上がります。

ですので必然的に上段は蹴上、中段は蹴込みとなりますね。

伸ばし切る瞬間に「力が抜ける感じ」なのであれば、お尻が後ろに抜けているとか、大臀筋から太もも裏がわのハムストリング、アキレス腱までの硬縮によって脚を伸展する事自体に無理があって体が逃げるのか、姿勢を維持する広背筋が弱いか、足首のつくりが雑か(指先が斜め上向いてるとかは全く力が抜けますので、踵を押し出す感じで足首を締めます。足首を締めるには親指を脛のようにぐっと反らせて、他の四本は逆に下向きに曲げます。足首の角度が90度以上あるようなら抜けます。90度以内で限界まで締める事で、アキレス腱なども伸び、脚がすっと伸びます。)

ゆっくり丁寧に動作しながら深層筋をつけるのがいいと思います。四股を踏む要領で脚を上げる動作を足刀蹴りにしてしまって、伸ばしきったところで静止、踏み降ろすのではなく引き足を取ってすっと深くM字になる(上半身は前傾しないように)、とかでやれば、同時に様々な部分を鍛える事ができます。

足先の力が抜けるのは大体腰が入っていなくてお尻が後ろに抜けている場合が多いです。俗にへっぴり腰。この場合は腰をもうひとつグッと入れて、上体は反るように(広背筋を締める)です。これができれば足刀はいいラインがでます。

伝統空手では、この広背筋を意識する為に、足刀と同時に裏打ちを出し、引き手を引き、肩甲骨を狭めるようにします。胸を開く、と言ってもいいのですが。また裏打ちは蹴りを出す際の空間制圧(相手の反撃に備える)でもあるので、蹴りだけでやりにくい場合はやってみてください。蹴りだけやるよりはコツが掴みやすいと思います。