ボクシング 「ストレート」の技・テクニックのコツ・ポイント 2

「ボクシング 「ストレート」の技・テクニックのコツ・ポイント 2」のまとめです。

-右ストレートの打ち方について-

様々なスポーツでよく使われる「腰の回転」という極めて抽象的な表現に実は,大きな落とし穴があると私は思っています。

私は左右のストレートを最も得意としていましたが,当初は,やはりこの「腰の回転」の感じがつかめず,悩み,苦労した経験があります。おそらく貴方も指導を受けていて「腰をいつ・どのように・どんな感じで・どのくらい回転させたらいいのか?」がうまくつかめずいました。
でも,うまく感じをつかんでさえしまえば,左フック,左ボディーアッパー等より遙かに適性に関わりなく打つことができるので,得意のパンチにできる可能性が十分にあると思います。

さて,右ストレートは「腰の回転」がキーワードに違いはないのですが,もう一つのキーワードは「パンチは肩で打つ」ということです。
なぜなら,左右のすべてのパンチは肩の回転で打つものだからです。

確かに「右ストレートを打つときは腰を回転させた反動でストレートを打つ」という言い方もできますが,別の言い方をすれば「腰の回転」は「肩を鋭く,力強く,スムーズに回転させるための必要不可欠な要素」ということができます。
では,検証するために次のことを試してみてください。(靴を履かず,靴下の方がわかりやすい)

①まず,肩幅に足を広げて立ち,両手を左右に広げる→前方の一点を見つめ,首を決して左右に動かさないようにして左の腕を後方に右の腕を前方に90度,右肩があごに触れるところまでゆっくり回転させる。
どうでしょう。
自然と肩が回転し,右肩が前に出て左肩が後ろにいきませんでしたか。
これが「肩の回転」です。

②次に,右足を引いて「構えたときと同じスタンス」で立ち,
①の動作をしてみてください。
どうですか。自然に右足と腰が正面を向こうとしませんでしたか。
これが「腰と右足の回転」です。

③さらに,ファイティングポーズをとって右ストレートをゆっくり前に伸ばしながら②と同じ動きで右肩を前方に左肩を後方に回転させてみてください。
この動きからもうわかったでしょうか。

要するに,右ストレートは「腰の回転」だけを意識して打つのではなく,「身体の中心線を軸として肩を回転させ,その回転を利用して打つ」ことが大切であり,「肩(身体)の回転をサポートするために腰を正面方向まで小さく鋭く連動(回転)させ,腰で肩を押し出してやる。
肩の回転を腰が援助してやる」といった方が,具体的かつより適切な表現,言い表し方になろうかと思いますが,如何でしょう。
さらにいえば,「腰から始動するのではなく,肩から始動すると腰も右足も肩の回転に連動して自然に正面を向くところまで小さく回転する」ということです。

「腰の回転」というと,誰しもが無意識のうちに「腰を大きく回転させる」と思ってしまうのですが,実は腰を無理に回転させようと思うことが大きな間違いであるということです。
本当の鋭い腰の回転を生むカギは体の中心線を軸にした肩の回転にあるわけです。
このように説明いたしましたが,言葉での説明なので,表現のしかたに不十分なところ,不適切で逆にわかりづらいところがあるかもしれませんが,私は得意の右ストレートを自分自身でこのように理解しています。
なお,フォームができていないのに無理に体重を乗せて強いパンチを打とうと意識すると,オーバーアクションとなってスピードも落ち,打つ瞬間がスキだらけになって最悪の結果を招きます。まずは強いパンチを打つことよりも正しいフォームを身につけることが強くなる最短距離と信じてマスターできるまで粘り強く努力してください。
ちょっとした自分なりの感覚さえつかめれば,必ず上手く打てるようになります。